見学が終わって境内にある茶店で、今日はずいぶん暑いですから、かき氷を食べましょう、と話したらセイの方は喜んでいますが、チョウは冷たいものを食べたり飲んだりしたら、お腹が痛くなりますから食べません、と子どもじみた事を言います。まぁ習慣ですからしょうがないですね。では、チョウは団子を食べてみましょうと、セイはかき氷、チョウは団子を食べて一休みしました。
しかし、そんな彼らも三年経つと、チョウはジュースは冷たいが良いです、と言うし、セイはにぎり寿司大好きになって、帰国の日に関空でお昼ごはんを食べましょう、といった時もお寿司が良いです、と言い出す始末でした。
チョウは結局にぎり寿司を食べることが出来ませんでしたねぇ。
少し休みながら話をして、清水寺へ向かう途中でお昼ごはんを食べました。
中華そばというのを食べてみましょう、と私。
中華そばは何ですか?と聞くので面(麺)ですよ、とだけ答えます。
この子たちに詳しく教えると、大抵拒否から入るんですよね。ですから、詳しく教えないで出てきたものを食べてもらうようにしています。
今回は京風中華そばです。きっと味が無いって言うだろうなと思っていましたら、案の定、首を傾げながら二人揃って
「味 ありません。 醤油入れる いいですか?」
予想通りの回答をありがとうございます。
京風中華そばが、東京風中華そばに変身するくらいドボドボと醤油を入れて、これ 良いです、と満足そうに食べていました。
清水寺に着くと、とても大勢の人出で、参道がいっぱいになっています。
牛歩で進むがごとくなかなか前に進みませんが、お店で売っているお土産物の話などをしながら歩けましたので、少しは会話の練習になりました。
清水の舞台も見て、帰る途中にずいぶん歩いて疲れたから喫茶店で休みましょう、と話してバス停近くの喫茶店に入りました。
私はアイスコーヒー、彼らはミックスジュースを頼んだ時、ご年配の女性店主さんが、中国の子?と私に聞かれたので、
「はい、中国の大連から来てもらっている技能実習生ですよ」
と答えました。
すると、店主さんは
「うちにも中国のお客さんが来るのよ、でもね、マナーが悪くて困ってるの。断りもなく写真をバシャバシャ撮ったり、食べものも散らかして食べるから汚いのよ。この子たちもそうでしょ?」
と言います。
最後の言葉、この子たちもそうでしょ?にカチン!ときましたよ。
若いころなら思いっきり言い返していると思いますが、いまは老爺爺の域に入っている私ですから、一応…一応…穏やかに反論します。
「確かに観光客でそのような人もいると思います。でも、実習生たちは多くの勉強をしてきています。当然、日本の習慣も勉強しています。そのような子は少ないと思いますよ」
「日本人だって、私が子供の頃は、みんなが路上や線路にたばこを捨てていたし、ゴミがいっぱいでしたよ。どこの国も同じです。それに日本人の観光客も海外で評判が悪い時がありましたよね」
それに付け加えて、今朝京都へ来るときの電車の話もしました。
「多くの人は、喫煙車両ですからたばこを吸っていました。でも、この子たちは、小さな子供がいますからダメです、と言って吸いませんでしたよ。少なくともこの子たちのほうがよほどマナーが良いと思いますよ」
自分の行動、この子たちの教育、いろいろなことを考えさせられた出来事でした。
まぁ、反対に私が大連でタクシーに乗った時、同じような事を言われた経験がありますから、どこの国にも一部を見て全部だと思う人はいるのでしょうね。