いよいよ帰国が近づいてきた10月、会社のみんなが二人のために焼肉パーティーを開催してくれました。二人が好きな羊肉も準備してくれて、海鮮も盛りだくさんに用意をしてくれたのです。リュウが中国の調味料を持ってきて、羊肉の串焼きを作ってくれてみんなで楽しいひと時を過ごすことが出来ました。
それからしばらくした後に、社長が二人に最後の食事に連れて行ってくれた時のお話です。
10月下旬、その日はいつもと違い、社長のご家族、技術指導員の製造部次長、大連事務所の社員、総務部の子等大勢の人で、二人が好きな天理のバイキングを食べに行きました。
いつも元気で、とにかくよく食べるリュウがずっと下を向いたまま、全然食べていません。
どうしたのか聞いてみると、
「私は日本へ来る前にお父さんお母さん親戚の人と食事をしました。その時、家族と離れる感じで、気持ちが悪いです。ですから、全然食べることが出来ませんでした。今あの時と同じ感じです」
と言って鼻をすすりながらシクシク泣いています。
私は彼の頭をクシャクシャと撫でて。。。
「リュウ、楽しく食べましょう。一緒に取りに行きますよ」
としか言うことが出来ませんでした。
会社のみんなから大切にしてもらって、君たちは本当に幸せな子たちですよ!そう思いながら帰りの車を運転していました。