一期生にとっては、最後の夏休み、二期生にとっては初めての夏休みが近づいてきた8月の初旬の事です。
仕事が終わって研修生たち四人が事務所に来た時に
「リュウとジャンは今年が最後の遠足になりますね。東京ディズニーランドに行ってみましょうか?」
と聞いてみました。
震災から5ヶ月経っているとはいえ、まだ福島原発事故の影響が報じられている時期でしたから彼らの答えは予想通りで
「東京に行くのは怖いです」
でした。
本当は、東京を見せてあげたいのですが残念ですね…近くのところに行きましょうかと思っていると、リュウから提案がありました。
「今年は私とジャンが、チョウさんとセイさんを遠足に連れて行って良いですか?」
何か悪いことを考えているのではないでしょうね!と冗談を言って、どこに行きますか?と聞いてみました。
「去年行けなかった三重県の遊園地に行きます」
わかりました。では、君たちが二人を連れて行ってあげてください。ただし、行くときと帰った時は、いつものように電話をください。それと、チョウとセイの家に家庭訪問へ行きますから、その写真も撮ってください、とお願いしておきました。
リュウは、自分で電車で行くルートや時間を調べ、二人で二期生たちを遠足に連れて行ってくれました。
これは非常に喜ばしいことなのでしょうが、最後の思い出作りを考えていた老爺爺にとっては、少し寂しい出来事でもありました。