除夜の鐘を聞きながら-初詣-

せっかくここまで来たのだから、春日大社に初詣をして帰りましょう、と私。

ジャン
「初詣は何ですか?」

一年のはじめに神社へお参りしてその年の健康や安全をお願いするのですよ、と説明します。その説明が終わるやいなや

「寒いですから帰りましょう、次長が風邪を引きますから」
と私をダシにして言ってますが、自分たちが行きたくないようすです。

ダメですよ、これも経験です。そういった私に、しょうがないですね、と渋々ついて来ます。日本での生活にすっかり慣れて、何でも見たいです、何でも知りたいです、どこに行くのも楽しいです、の時期はもう過ぎてしまったんでしょうね。猫じゃらしを振っても遊ばなくなったお兄ちゃん猫のようにどこか冷めたものを感じます。

春日大社は、元旦の12時過ぎですから、当然ものすごい人出です。二・三歩進んではしばらく止まる、そんなことの繰り返しで、結局お参りが出来たのは午前3時を回った頃でした。
途中立ち止まる時間が長くなると、

「ほら、ですから帰りましょうと私は言いました」
ジャンがブツブツ言います。

「お金あげて ガラガラするだけでしょ?」
とリュウもブツブツ言います。

それでも何とか本殿に辿り着いたので、三人でお賽銭を入れ11月に無事帰国できますように!とお祈りした私たちです。帰り道、後11ヶ月です、とにかく怪我と健康に気をつけて過ごしましょう!と何度も話しました。

二人が少しお腹が空きましたと言うので、上海海鮮と書いた露天でスープのようなのを試しに食べてみましたが、これが何ともおいしくない一品でした。私がこれはだめですね~と言うと、

「上海は小籠包がおいしいですが、海鮮は大連がおいしいです」
とすかさずお国自慢をしてくれます。

この子たちが、お国自慢を話してくれる時は、本当に目が輝いています。とても楽しそうに、とても誇らしげに話してくれます。
そうですか!と相槌を打ちながら彼らの話を聞くのが私の楽しみなのです。

5月から来る二期生たちの話もしました。君たちは先輩になりますよ。ですから、次の子たちに親切に教えてあげてください、と言うと即答で

「大丈夫です。私たちは親切な人ですから」

ん~君たちからこのようなフレーズを聞くと何となく怖いんですよ。。。と冗談を言いながら電車に乗った元旦の朝でした。