五期生たちの日本語学習が始まってほぼ一ヶ月になります。昨日、彼らの担当次長に進捗状況の報告をして、最近の様子を聞いてみました。気になるスゥの評価ですが、以前とは違って良くなってきているよ、との話を聞いてホッとしています。
以前は、わからない時は首を傾げるだけかニヤニヤ笑っているだけだったのが、”もう一度お願いします”と自分で言えるようになってきているようです。また、仕事の確認もできるようになっているし、休み時間もみんなのところに来て話に参加しようと試みているとのことでした。
自分でも日本語に対して慣れてきたことと、自信を持てるようになってきているのが、この行動に現れているのだと思います。また、間違うことを恐れなくなってきているのでしょうね。話を聞いてくれる人たちが、彼が間違った言葉を使っても怒らずに理解しようと努力をしてくれているのだと思います。会社のみんなで彼らを育てて指導していこうという意識があるから出来る事だと思うのです。
この経験は、将来必ず指導する人自身の財産になり、その人達が育つことによって会社の財産になっていくと思います。中小企業では技術の伝承が難しいと話題にのぼることが多いですよね。これは、指導する側の人が技術を受け継ぐ人に指導する時、どう教えていいのか分からない、というのもあるように思います。
当社では以前、技術を次の世代に移行するという課題に対して、数値化やマニュアル化するために学卒者を多く採用した時期が有りました。これはかなりの成果があり、様々な事柄が文書化されています。ただ、本当に微妙な感覚というのはマニュアル化できない部分もあります。この部分をどう教えていくのか、どのように教えたら相手に理解されやすいか、そのような”教える”ということを、実習生たちへの指導から学ぶことが出来ると思います。
話は戻って昨日の夕方に西九条の寮へ行った時、スゥに”最近のあたなは、日本語の理解も良くなったし、仕事も良くなりましたと次長が褒めていましたよ”と話すと本当に嬉しそうな顔をして喜んでいました。この喜びが今の彼にとって必要なことなのだと感じます。このような喜びや達成感の積み重ねが彼の学習意欲を刺激して、現状に満足するのではなくもっと頑張りましょう!と思ってくれるように望みます。
彼の変化にホッとしつつも、ここで気を緩めたら元の木阿弥になると自分を戒めている私です。