三期生たちの奈良公園 第二話

歩きながら出てくる言葉は、自然と「暑いですねぇ」が多くなります。
7月ですからね。。。無理もない事なのですが、会話が少なくなることが心配ですよ。

東大寺大仏殿の前で恒例の鹿さんと戯れましょう、を終えた後、大仏殿の参拝に行きます。手を洗って、中に入ると大きな仏像が見えます。
鹿せんべいをあげた時のように、楽しいですよ、という表情が見えましたので、柱に開いている穴の話をしてみました。

「この柱の穴はね、大仏様の鼻の穴と同じ大きさですよ。この穴を通れる人は正直な人です。通れない人は、嘘つきの人です。二人とも試してみましょう!」

二人とも笑いながら、

「私は大きいの人ですからダメです。あれは小さいの子どもが出来るでしょ」
といいます。

おお!結構乗ってきてくれますね。。
ちょっと期待ができますよ、と思いながら大仏殿を後にして二月堂へ向かいました。二月堂の上から奈良市内の風景を眺めます。
奈良ドリームランド跡に富士山を模した小さな人口の山があって、二月堂の上からチョコんと見えます。

そこで、
私 「ほら、あそこに白と茶色の山が見えるでしょ?」

ソン「はい、あります」

私 「あれが富士山ですよ。日本でとても有名な山です」

二人とも
「えーーー小さいです」

私 「ここから見ているから小さいのですよ。近くに行ったら3776メートルあります」

ドン「次長 さっきの穴 通れません。嘘つきの人です」

非常に良い雰囲気じゃないですか!

猿沢池で亀を見た時も
「ほら、たくさん亀がいるでしょ? でも、食べたらダメですよ」
と冗談をいうと

ソン:「この亀 食べません。顔の長い亀食べます」
私 :「その亀はどこにいますか?」
ソン:「中国の川 います」
ドン:「あの亀も食べません。売ります」

次々に会話が弾んでいく有意義な散歩をした後、西大寺駅の近くにある定食屋さんで昼ごはんを食べました。

当然ですが、タダで昼ごはんをご馳走するような優しい老爺爺ではありません。昼ごはんを食べるのも目的が有ります。そのために昨日の日本語学習の単語で、キャベツ、ウインナーソーセージ、とんかつを出してあります。

出てきた定食を見ながら、
ソン、これは何ですか?と、ウインナーソーセージを指して聞いてみます。

ソン「昨日 ありました。 でも、わかりません」

ドン、これは何ですか?と、とんかつを指しながら聞いてみます。

ドン「わすれました」

ものの見事に二人とも忘れています。
まぁこんなもんですね。
ちなみに、キャベツを聞いた時は、二人揃って「やさいです」

この日以降、暫くの間、私と食事をする時は何を言われるかわからないという緊張感を持った食事となった二人です。