日本語学習を始めて一ヶ月と少し経った7月13日に、三期生たちと奈良公園へ行きました。
二期生たちとの奈良公園への遠足がほぼ失敗に終わっていましたし、時期も夏に入っていましたから、正直なところかなりの不安がありました。そんな不安を抱えつつ三期生初めての遠足です。
二期生たちから話を聞いているようで、暑くて嫌ですよ、の感じです。
どうもネガティブな話を聞かされているようですね。全く二期生は余計なことをしてくれたもんです。
また、電車代だけは自分で出すようにしているので、ドンは少し躊躇しています。というのも彼は家の事情もあると思うのですが、とにかくお金を使いたくないです、という感じの子です。
そのわりにはタバコを吸うので、やめたら??と時々誂っています。
ですから、彼には自分の勉強に必要なことにはお金を使わなくてはなりません。
それも勉強のためになることです。それは日本語だけの勉強ではありません。これからあなたが生きていく中で人としての勉強になることですよ、と良く話します。
西大寺駅で切符の買い方、改札の通り方、エスカレーターを乗るときのマナーなどを話しながらホームに向かいます。
電車に乗って、優先座席の事や車内のマナーなども話します。
近鉄奈良駅に着いて、飲み物を買い故郷の話などをしながらテクテク歩いていきます。その時に、フッと気がついたことがありました。
西大寺駅に向かう時から今まで、歩いている時、電車に乗っている時、買い物をしている時も私の横にいるのはずっとドンです。ソンはドンに隠れるようにして歩いていたのです。
そこで、ソンこちら側に来なさい、と無理矢理私の横を歩かせるようにしたのです。多分、彼は言葉に自信が無いために私に話しかけられるのが怖かったのだと思います。だからこそ、私の横を歩いて話さなければしょうがないです、という状況を作りました。諦めたソンは、渋々私の横を歩きます。彼にとっては地獄のような時間だったと思います。しかし、この経験で少しずつですが、彼も自分から話すようになっていきます。